2021.03.20
【あの時、仕事が無くなって良かった!?】 教育講演家 木村玄司
ちょうど1年前、講演依頼のキャンセルが相次ぐようになりました。当然のことながらキャンセルだけでなく新しい依頼も激減。夏なんてほぼ全滅でした。
個人コーチングやコミュニティの集まりもオンラインでやることが圧倒的に増え、家にいる時間ばかりが増えていきました。
仕事や外出の機会が激減する一方、時間だけはたくさんできていきました。
そこで、ふとしたことをきっかけに「暇だし、ギターでもやってみようかな」と思った僕は、書店に出かけて、さっそく超初心者向けでDVD付きの教習本を購入。自宅の倉庫に行って、はるか遠い昔に「ギター弾ける人カッケェー!」と思って購入したけどFコードが難しいのと指が痛いのでソッコーでオブジェと化してしまった”超古いのに新品同様”のギターを取り出してきた。
中学校時代の音楽の授業では、一度も褒められた記憶がない僕は、音感なんて全くないし、楽譜だって読めない。もちろん、ピアノなんて弾けるわけはない。
時間はたっぷりある中で、外出はなかなかできない時期だったので、家に閉じこもってとにかく練習しまくった。多い時には1日7時間とか平気で練習した。
教習本通りに指を置いても音が出なくてイライラすることも何度もあった。
そうこうしている間になんだかちょっとずつ弾けるようになってきた。
全然綺麗じゃないけど、簡単なコードだったら弾けるようになってきた。
自分が知っている曲も簡単になら弾けるようになってきたら、なんだか楽しくなってきた。一人で熱唱しちゃうくらいメチャメチャ楽しくなってきた!
そんなことを頭の片隅に思い描きながら練習を積み重ねていたある日、ふと思った。
「そういえばオレは、中学生や高校生に向けた講演で”失敗しても良いから挑戦しよう!”って話しているよな。でも、当の自分自身が最近全然挑戦してないじゃん!よし!”いつか”じゃなくて次の講演の時にやっちゃおう!」
そう思った僕は自分を追い込むかのように、さっそく主催者さんにメールをして、マイクスタンドは用意できるか、感染症対策はどのようにしていくかなど、打ち合わせをすることにした。
主催者さんが快く対応してくださり、すごく手間がかかるけど様々な感染症対策もしてくださった。(もちろん、僕自身も対策には気をつけてきた。各主催者さんのおかげで実際にこれまで一度も感染報告はない。)
やり始めたばかりのギターに、ど素人のヘタクソな歌声だけど、今「自分なんてどうせ…」と自信を失いがちな子たちに少しでも勇気や希望を与えられたらと思って必死に練習した。
もう弦に慣れてきたはずの指が、再び大きく凹み、時には血が出てくる時もあった。
講演会当日、これまでと同じように講演で盛り上がったり真剣になったりした最後に、サプライズのような感じで弾き語りをおこなった。
1000人以上の前でもあんなに意気揚々と話をするような人間が、ギターになると死にそうなくらい緊張する。頭が真っ白になりそうなのをなんとか持ち堪えるのが精一杯だった。
本番は、たくさん失敗した。いつもはできることができなくなってしまったところもあった。
なんとかやり終えた僕に対し、割れんばかりの拍手が体育館中に響き渡った。
「木村さんのギター、すごく感動しました!今後私が落ち込みそうになった時に、歌の中の歌詞を思い出して頑張っていきたいと思います!ありがとうございました!」
失敗もたくさんしたし、お世辞にも上手いとは言えない僕のギターと歌だけど、こんな風に何か届けられることができて、本当に嬉しかった。
チャレンジして、本当に良かったと思えた瞬間だった。
そして、今週の講演会でも、講演に加えギターの弾き語りをおこなった。
以前より上達したとは言えまだまだ初心者の自分だけど、たくさんの嬉しい感想が届く。
振り返れば(と言ってもたった半年前だけど笑)、たくさんの時間ができた中で何げなく始めたギター。
でも、そこから新たな可能性やスタイルが創り出されてきた。
可能性がますます広がり、以前にも増して、さらに楽しい!
正直、忙しかったらギターを始めようなんて思いもしなかったと思う。
だから、今は素直に、あの時仕事が無くなっていって本当に良かったなって心から思う今日この頃です。
今日でギター練習連続226日目。”歌と言葉のアーティスト”目指して、まだまだ頑張るぞー!笑